『 シャッターチャンス 』


台風が近づいているのか、雲の動きが早く、
今にも雨が降り出しそうな空に、ため息を落とした。

最近の天気はオカシイなぁ・・・

テレビでは天気予報士が注意を呼びかけているのを
朝食中に見た。

今までの台風より大きい

どの局を見ても、同じ様に天気予報士は言葉を作っていた。

来るのは夜くらいかなぁ?

見える空を見ながら、
台風の予測をしながら通学路を歩き、門を潜る。

「おはよう!」

元気な声が聞こえ、首だけ動かし姿を確認するまでもなく、
ダレが挨拶をしてきたのか解り、

「おはよう、朋」

横に着くのを確認して挨拶を返すが

「おはよう、桜乃」

もう1人、友達が居る事に気付き挨拶をすれば

「おはよう、ちゃん」

微笑みながら、返してくれた。

「今日は朝錬が無かったんだって」

途中で会ったのだと話す、朋と桜乃の話を聞きながら、
下駄箱に着き、クツを履き替え、人数が揃うと教室へと向かう。

自分のクラス前で解れ、最後には1人が廊下を歩き教室へと入って行く。

予鈴がなり、担任か2・3連絡事項を言い、
教室を出て行けば、5分も立たない内に教科を持つ教師が入ってくる。

昼近くの授業中、雨が窓を叩く音が聞こえると
教室はざわめきに包まれた。

静かに!

注意する声が響くものの、ざわめきは小声になっただけで、
再び教師の注意が入り、静かになると授業が再開された。

何度目かのチャイムの音で昼食の時間となり、
今までの静けさがウソの様に、一気に賑やかになった。

1人、お弁当を食べ、残りの時間を読書の時間に使う。

テレビの話
趣味の話
親の話

さまざまな話が聞こえるのか、
必ず話題に上がるテニス部の話。

誰かが話題に出せば、連鎖するように広がる。

時には、夏休みにあった大会の話。
対戦校の話。

青学だけでは無く、他校まで話題に上る。

暑い中、見に行ったんだ・・・

開いている本を読まずに、聞こえてくる話の感想が出てくる。

そういえば、朋も桜乃も話してたっけ・・・

『氷帝戦は凄かったんだよ!』

興奮気味に朋香が話をすれば

『六角戦も凄かったの・・・』

頬を赤らめながらに、話をする桜乃。

さまざまな他校との対戦の話を、聞いているだけだった。

夢中になっている2人を見ながら、
自分は今まで何をしてきたんだろう・・・
そんな考えが浮かんだが、時間が勿体無いと思う事はなった。

ただ、楽しそうに話せる事ではないと思った。

開かれた本を見ながら、文章を追う事も無く考え事をしていた為
休憩終了を知らせるチャイムに内心驚き、しぶしぶ本を閉じ引き出しの中に入れた。

昼からの授業を受けていれば、
一層窓を叩く雨音が強くなり、視界の墨に入った空には灰色の雲が広がっている。

授業を受け、10分の休憩中に本を読み
また、授業を受ける。

何度か繰り返し、ようやく終了を向かえ、
足早に教室を出て行く同級生達に混じって、
帰宅の準備をし終え、教室を出て、
通い慣れた図書館へと向かう。

1度、外に出る為に廊下を歩いていると、

!」

いきなり呼び止められ、動かしていた足を止め体ごと振り返れば、
見慣れた人物が片手を上げ、小走りに近寄ると

「帰る所を、呼び止めてすまない」

謝りを入れられ、

「いえ」

小さな声で返すと、

「悪いんだが、不二を見なかったかい?」

の不器用な返事も気にせず、
会話の本題に入る。

「いえ、見てませんが」

先程と変わらない声で答える。

「そうか・・・
 もし、見かけたら、今日の部活は休みになった。
 と、伝えておいてくれないか」

少し考える事があったのか、
申し訳無さそうに作られる言葉に、

解りました。

短く言葉を返し、軽く頭を下げる再び歩き出す。

下駄箱でクツに履き替え、外に出れば、
雨に当たらない様に傘を開け図書館へと向かう。

雨に濡れた傘をたたみ、傘立てに刺し、図書館に入る。

クーラーが掛かっているのか、
少し濡れた制服に風が当たると寒く感じるが、
羽織る服が無く、我慢しながらカウンターへと借りた本を持っていけば、
先週同様、越前がカウンターにいた。

「返却なんだけど・・・」

カードに返却印を貰う。

見慣れない文字で書かれている名前

自分のモノでは無い様な錯覚を感じるが、
書かれている名前が自分の名前の為、違和感を感じながらもポケットに入れる。

借りた本を元の位置に戻し、次に借りる本を探す。

何種類かある本の中から1冊手に取り、中身を軽く読み始める。

気に入らない・・・

直ぐに本棚に返し、次の本を手に取る。

再び軽く読み始める。

カシャ

聞きなれない音に意識を戻し、
本から視線を外し、音のした方を見ると、不二が微笑みながら立っていた。

「こんにちわ、ちゃん」

いつもの様に不二から言葉をかけ

「こんにちわ、不二先輩」

いつもの様にの挨拶が返る。

「面白い本は合った?」

「いえ・・・」

返事を返しながら、手に持っていた本を元の位置に返すと、

「せっかく読んでいたのに、戻しちゃうの?」

「はい」

「真剣に読んでいたから、てっきり借りるんだと思った」

不思議そうに見えたのか、
微笑みながら言う不二の言葉に、

「1部分だけ、読みたかっただけだったので・・・」

変わらない口調で言葉を返す。

ソレ以来言葉を交わす事はないものの、
同じ時に席へと移動し、持ってきた本を開く。

静かな中に、ページを動かす音が響く。

そういえば・・・

フッと思い出し、前に座る不二に小声で声をかけると、

「どうしたの?」

同じ様に小声で返す。

「大石先輩が、今日は部活が休みだと伝えてくれ。
 と、伝言を預かってきました」

視線を合わせながらの言葉に

「そうみたいだね」

知っていたのか、頷き返す。

「どなたかに、聞かれたんですか?」

が聞けば

「ココに来る途中に、海堂に会ってね」

微笑みのまま言葉を返す。

「そうだったんですか・・・
 言うのが遅くなってすみません」

誤る

「気にしないで」

微笑を深くして返事を返す。

再び、本へ視線が戻りかけるが、

「本、ありがとう。
 面白かったよ」

礼と共に、差し出される本を受け取り

「それは、良かったです」

差し出される本を受け取り、机の上に置き、
再び不二に視線を合わせる。

「あの・・・」

上手く言葉を作れず、戸惑っていると

「色々考えさせられる本だったなぁ・・・
 と、思ってね」

声を漏らしながら笑う姿に、

「そうでしたか・・・」

言葉と表情が合わず、
曖昧な言葉で返し戸惑っていると、
不二の視線が本に写るのを見て、も開いた本に視線を戻し、
再び、ページを捲る音が広がる。

静かになると、雨の降る音が微かに聞こえ、
紙が捲られる音が聞こえる。

そんな中、再び何かを切る音が聞こえた。




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          不二と恋する1週間(仮)

           第6話目の『シャッターチャンス』でした。
           最後のお題でしたか、如何でしたでしょうか?
           今回のお題は音で表して見ました。
           
           お題を考えてくれたみゆ様の感謝です。
           本当に有り難うございます。

           なにより、1週間読み続けて下さった皆さん有り難うございます。(身内様も・・・)

           今後、TV・原作で何か妄想出来そうなら、また書きたいと思います。